『東大王』の最終回が良かった。「打ち切り」じゃなくて「7年半も続けてくれた」なんだよ

TBS『東大王』の最終回が9月18日に放送されました。

2017年から7年半に渡って放送され、最終回で195回目だそうです。

そんなにやっていたんですね。

第一回目の放送で、まだ東大生だった伊沢拓司さんが「サモトラケのニケ」と回答して優勝を決めた瞬間をいまだに覚えてます。

最終回も超難問かつ良問揃いでした。

1問目のひらめき問題でさっそく新札に絡めたものが出てくるあたりは優秀な作家が揃ってるなと。

対戦相手の指名から垣間見える人間模様

『東大王』の見どころの一つはメンバー同士の人間模様です。

友情、ライバル心、憧れ、といった様々な感情がメンバー間で交錯し、それをうまく視聴者に見せたことで、一問一問に重みが生まれていたといえるでしょう。

今回、1stステージの上位者が2ndステージのタイマンバトルの対戦相手を指名するという形式が取られました。

そして、1stステージを1位通過した「東大医学部のプリンス」こと水上颯さんが、「IQ165の天才」こと鶴崎修功さんを指名しました。

水上さんと鶴崎さんは長年クイズを一緒にやってきた仲間であり、ライバルです。

その二人が最後にこのステージで戦う。

水上さんとしては、放送開始時の初期メンバーである鶴崎さんか伊沢さんのどちらかと戦いたい気持ちが強かったのかなと思います。

鶴崎さんは生放送で行われる決勝戦は日程がつかないので、勝っても負けても、ここが最後の『東大王』のステージ。

そんなこともあって、鶴崎さんを指名したのかもしれません。

そして、1stステージを2位通過した伊沢さんは砂川信哉さんを指名。

ナレーションにもありましたが、砂川さんにとって、伊沢さんは憧れ続けた存在。

とはいえいつまでも憧れ続けているつもりもなく、ここで倒しておきたいという気持ちもあったでしょう。

そんな気持ちを知ってか、砂川さんを指名した理由を聞かれた伊沢さんは「一番勝てそうだから」と言い放ちました。

「お前が思っているほどには俺たちの差は縮まっていないよ」という後輩への強烈なメッセージに聞こえました。

対戦相手の指名だけでも、そこにはドラマがあったのです。これこそ『東大王』の面白さです。

『東大王』の最終回に相応しい終わり方だった

最終的に決勝ラウンドに駒を進めたのは、伊沢拓司さん、木村真実子さん、成瀬充さん、そして敗者復活戦を勝ち上がった「ジャスコ林」こと林輝幸さんの4人です。

林さんも本当に素晴らしいプレイヤーです。ミラクルを起こす男です。

今回も追い込まれた後でも、積極的に押しに行って盛り上げてくれました。

どう考えてもそこでは答えを確定させられない、というポイントで勝負にいくのです。

本人も「押さずに後悔することはやめようと決めていた」と言っていましたが、こういうスタイルのプレイヤーがいると番組は盛り上がります。

そして、最終決戦まで残ったのは伊沢さんと木村さんの2人。

初登場の木村さんが最後の2人まで残るという大波乱でしたが、最後は伊沢さんがクイズ王の意地を見せました。

最後のウィニングアンサーが「王者」というのも、『東大王』の最終回に相応しいものだったと思います。

欲をいえば木村さんと成瀬さんは、最終回で初出演させるのではなく、もう少し前の回から時間を掛けて視聴者に認知させてほしかったと思います。

せっかく2人とも実力のあるクイズプレイヤーなのですから、ジョーカー的なポジションで不定期に出演させるなどしておいてくれたら、視聴者はより感情移入できたのではないでしょうか。

プロレスでいうところのアングルがほしかったです。

「本気で戦ったら伊沢より木村と成瀬のほうが強い」「いや伊沢のほうが強い」といったように、視聴者側がイマジネーションを膨らませられる程度には出演していてほしかったです。

しかし、ヒロミさんも言っていましたが、もしかしたら特番として復活する可能性もあるそうで、その伏線としての2人の出演だったとしたら嬉しいですね。

「打ち切り」ではなく「7年半も続けてくれた」

『東大王』に限ったことではありませんが、クールの決まっていない番組が終了するときは「打ち切り」とネガティブに捉えられることが多いです。

実際に当初よりも視聴率は減っていたようですから、テレビ局としても打ち切りという感覚なのかもしれません。

しかし、冷静に考えて、学生をメインに据えた番組がこんなにも長く続いたのが凄いことです。

これは、歴代のメンバーが頑張って「7年半も続けてくれた」というべきでしょう。

特に初期メンバーである、伊沢さん、鶴崎さん、水上さん、その後に加わった鈴木光さんの4人が、クイズの実力とカリスマ性を備えていたことが、『東大王』という番組の成功を決定づけたと思います。

その後に加入したメンバーも皆さんがそれぞれに実力と個性を発揮し、番組を盛り上げてくれました。

彼らの一番の功績は「知識があることはカッコイイこと」という認識を子供たちに与えたことではないでしょうか。

『東大王』を見てクイズを好きになったり、勉強を頑張ろうと思った子供たちはたくさんいると思います。

それだけでもこの番組とメンバーの果たした役割は大きかったと思います。

年に1回の特番でも良いのでこれからもぜひ続けてもらいたいです。